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Special Interview Kayli Kaiulani Carr

2016-10-01

東京で開催されるフェスティバル ナ・ヒヴァヒヴァ・ハワイ(以下ナ・ヒヴァ)に出演するケイリー・カイウラニ・カー。最高峰のフラ競技会メリー・モナーク・フェスティバルでミス・アロハ・フラ(女性ソロ部門優勝)に輝いた26歳の魅力に迫った。

text_Yuki Morimoto
photo_Toyohiro Zenita

ミスアロハ・フラ2016公演前来日インタビュー

フラは心の言葉、すなわちハワイ人民の心臓の鼓動そのものである――音楽と踊りをこよなく愛したカラカウア王の言葉のとおり、フラは単なる舞踊ではなく、伝統芸能を超越したハワイアンの哲学が込められている。ストイックに自分と向き合い、抜群の演舞でミス・アロハ・フラの座に輝いたケイリーは受賞時の自分の演技をこう振り返る。

「メリー・モナークの舞台はとても大きく、最初は観客席がものすごく近く感じました。威圧感すら覚えたくらい。でも、いざ立ってみると不思議と緊張しませんでした。出番まで他の人の演技は見ず、極限まで集中できたからでしょう。演技中はまるで魂が肉体から離脱していたような感覚でした。気づいたら終わっていて『私、本当に演技していたのよね!?』って思ったほどです。

競技会前は家族とほとんど顔を合わせない日もあったほどハーラウ(教室)で2人のクム(先生)との練習を積み重ねました。自分の理想へ近づくために努力を惜しまない性格なので、今までで最も自分に厳しかったと思います。結果、最高の演技だと評価されましたが満足はしていません。改善する意欲と学ぶ姿勢を常に持ち続けていきたいです。」

崇高な王族の血筋を讃えるダイナミックなカヒコ

ナ・ヒヴァでもメリー・モナークと同じ演目を予定しているケイリー。カヒコ(古典フラ)では高貴な王族の出身であるケオプオラニ女王が、カメハメハ大王との間に産まれたリホリホ(カメハメハ二世)を讃える「エオー・ケオープオラニ・カウヒアカマ」を披露する。なかでもケパケパスタイルと呼ばれる高速のオリ(詠唱)は圧巻で、たちまち神聖な空気感を作り観客を引き込む。

「ケオープオラニ女王はカメハメハ大王より身分が上の崇高な人でした。演じるにあたり、彼女がどのような人だったのか、私たちの文化にどれほど大きな影響を及ぼしたのかを深く掘り下げました。
オリは本来3ページに及ぶ長いものなのですが、そのうち1ページを暗記しました。1月から練習を始め、地道に少しずつ言葉を覚えては増やし、の繰り返し。すべて覚えたところで感情表現や息を吸う場所などを何度も練習してきました。」

高貴な女王を表現するためクムが用意した衣装にも注目したい。

「羽根をあしらった上半身はクムのケアノがデザインし羽根を手縫いしました。羽根のレイも伝統的な手法で作られたものです。カパ(伝統的な樹脂布)のパウスカートはクム2人がプリント・染色を手掛けました。」

偶然にも母から娘へと受け継がれたアウアナ

力強いカヒコから一転、アウアナ(現代フラ)では愛する人を連れ去る風を歌ったラブソング「カ・マカニ・カーイリ・アロハ」を披露する。

「この歌はとても一途で情感的。私が感情をあらわにするタイプの人間ではないことをよく知るクムたちがこの曲をあえて選んだことは、大きな試練だと受け止めました。さらに運命的だったのが、私の母が父のために結婚式で踊った曲だったということ。当時の映像を見せてもらったら、ドレスの色も同じでビックリ! 衣装はすでに出来上がっていたのですが、クムたちはもちろんこのことを知らない。偶然に偶然が重なり、奇妙な運命を感じました。本番後、母から『あなたの演技を見て泣いたわ』と言ってもらえたとき『やった!』って思いましたね。」

Profile
ケイリー・カイウラニ・カー
1990年ハワイ州オアフ島生まれ。6歳からフラを始める。
初めはバレエと掛け持ちしていたが2001年のミス・アロハ・フラ、ナターシャ・オダの演技に魅了され、同じ舞台に立つことを夢見るように。以後、14歳からフラ一筋。
名門カメハメハ・スクールを卒業後、ハワイパシフィック大学へ進学するとともにプロのフラダンサーとしてのキャリアをスタート。
2014年にクムフラ、ロバート・ケアノ・カウプⅣとロノ・パディラが率いるハーラウ・ヒイアカイナーマカレフアと巡り合い、2016年ハーラウ初のミス・アロハ・フラとなる。

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ミス・アロハ・フラに授与されるゴールドのバングル。自分でデザインした特注品だ。「フラガールの周りにハーラウを象徴するレフアの花と2人のクムを表すパフ(打楽器)、家族とボーイフレンドを表すマイレの葉をデザインしました。裏にはオリの最後の一節AUNA KA MOEを刻印しました。」